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「踊るお父さん」の「踊る情報局!」

「踊るお父さん」の「踊る情報局!」

ジャニーズに入った時の話・・・

ちょっと 昔話

☆☆☆ 今回は あのアイドル事務所に入った話 題して・・ ☆☆☆

★★★★   ~ 初めての オーディション ~  ★★★★


ディスコ通いに明け暮れていた高校2年、17歳のときの事だった・・
1通の黄色い封筒が自分の名前宛に届いた・
送り主は・・ジャニーズ事務所とある
早速、中を読んでみると・・・

よっちゃんバンドメンバー募集!と書いてある。
日時と場所の記載が書いてあり、
当日、楽器の演奏を行う趣旨が書いてあった。

胸がドキドキとときめいた・・・
そー言えば1~2年前勢いで履歴書を送ったような気がしたが
何の音沙汰もないのですっかり忘れていた。

その頃は、毎日ギターを弾いて歌手になりたい!と本気で思っていた・・

「行くっきゃない!」

場所は赤坂、TBS会館・・・

当日、少し早めに行ってみると、いかにも・・「バンドやってます」系の
髪を長く伸ばした、シャツにネクタイ、ジャケットに、細いジーンズの若者が溢れていた・・

皆、一様にテクニックに関して自身ありげに話をしていた・・・
遠くから見ていても皆、ミュージシャンに見える・・・

俺は浮いていた・・・

真っ赤なバギーパンツにパーカー・サテンのジャンバーと言ういでたち
とてもミュージシャンには見えない
来る場所間違えたか・・・

おまけに最近はディスコ通いをしていて、2~3ヶ月ギターに触ってない・・・
弾けるといっても、お粗末な自己流ストローク程度だ・・

オーディションが始まった・・

全員一度ステージに集められた。
審査員席には野村義男本人・・・そしてジャニー喜多川さん・・・
オーディションの趣旨、方法が説明されたが
舞い上がって殆ど覚えていない。

最初の10人がステージに残り後は客席に散らばって行った・・・
1番目の奴がマイクに向かった・・

ギターを演奏するらしい・・・
ソロでギターを奏で始めた・・

「うまい!」

半端じゃなくうまい!と感じた・・
これじゃ俺には太刀打ちできない・・

次々と演奏していく・・
キーボード・ドラム・ベース・リードギターに弾き語り・・・
皆、俺から見ればセミプロと言う領域かそれ以上・・

もし、俺が同じことをやったら・・中学生のお遊戯程度と言うのがバレバレになってしまう・・

何もいい考えが浮かばないまま自分の番が来てしまった・・・
地明かりの照明に照らし出されたそこは・・明らかに人生の分岐点だった・・

「128番 武口明良・・」

心臓の鼓動は最高潮に高鳴っている・・・
「君は・・・何をやりますか?」
スタッフか、誰か分からない・・

咄嗟に言葉が出た・・・

「歌を歌います・・」
一瞬、会場にしらけた空気が漂った・・
おおよそ、見当違いの発言をしたように
会場内を”沈黙”が支配した・・

「何を歌いますか?」
スタッフが聞いてきた・・

「イルカのなごり雪を・・」

「キーは?」
今度は後ろから声が聞こえた・・
キーボードの人だ・・

「Fでお願いします・・」

唯一、家でギターを弾いていた時、コード進行を
完璧に覚えていた曲だ・・
コード進行が簡単だった事と、キーが合う曲が少なかった事から
よく歌っていた・・歌詞も殆ど完璧に覚えていた・・・

聞き覚えのあるイントロが流れてきた・・・

「・・♪・・汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしてる・・♪」
歌いだすと・・心臓の高鳴りが穏やかになっていった・・

俺は全力で歌いきった・・

少しの間・・余韻に浸っていた・・・

「君は・・何をやりたいの?」

少し優しいが、不審そうに聞かれた・・

今度の声の主はスタッフではない!

ジャニーさんだ!

「僕は・・歌って踊れる様になりたいんです!!」

「君はジャニーズ・ジュニアになりなさい!オーディションが
終わるまで帰らないで待ってて・・」

自分の耳を疑った・

「ジャニーズ・ジュニアになりなさい!」
って事は・・・合格?どう言う事だ?・

オーディションが終わるまでに時間がえらく長く感じられた・・
俺はTBS会館の入り口の近くのソファーに腰をおろしていた・・

ジャニーさんが来た・・・野村義男も一緒だ・・
直ぐに立ち上がる。

こんなに間近で芸能人を見れるとは・・・

「ユーは時間大丈夫?」

俺に聞いてきた。

「はい。大丈夫です」
「よっちゃんは、帰るんでしょ?」
「はい!」

野村義男の背中を見送りながらジャニーさんが話し掛けて来た・・
年齢や住んでる所などを話しながらTBSの中へと進んで行く・・
「今、他の子も練習してるから・・会っておこうか」

TBS内の会議室のような所へ案内された・・
扉を開ける・・

12~13人の少年がカセットをかけながらダンスのレッスンをしていた・・

全員の目が一斉にこちらを向いた・・
「おはようございます!」大きな声が浴びせられた・・
見覚えがある・・・

一番前で踊っているのは・・・・「少年隊」と呼ばれている3人だ・・・

「今週からレッスンに出る武口君だ・・・」
ジャニーさんが紹介をしてくれた・・

軽く会釈をしたが特に反応は無く、皆レッスンを再開した・・・

「毎週日曜日、TV朝日の第一リハーサル室でレッスンしているから
ユーも来なさい!」

と・・・言う事は・・ジャニーズには入れたって事?
あっけなく・・いとも簡単に・・入れるとは・・

「YOU・・時間まだ大丈夫?」

ジャニーさんが聞いてきた。

慌てて答えた。

「はい!大丈夫です。」

「テレ朝行こう。俊がコンサートのレッスンしているから」

自分の耳を疑った・・

「俊」って・・・・あの・・スーパースター・・田原俊彦の事?

今の若い方には解らないと思うが・・・
今で言えば・・

SMAPの木村拓也・・にいきなり会うようなもんだ・・

心臓がときめいた・・

学校で良く、田原俊彦の振りマネをやっていた俺にとって・・
超、憧れの存在だった・・・

目の前に1台のベンツが止まった・・
促されるまま・・ジャニーさんと一緒に、ベンツに乗り込んだ・・

初めて乗るその、高級感溢れるベンツの乗り心地・・・・
来る時、地下鉄に揺られて・・・オーディションを受ける前の自分とは、
まるで人間が変わったような気がした・・

次から次へと・・夢のような出来事が続いていく・・

でも・・頭の中は「俊ちゃん」の事で一杯だった・・・

六本木・・(旧)テレビ朝日までそう時間は掛からなかった・・
ベンツを降りると・・目の前に・・プレハブの2~3階立ての小屋があった・・・

TV局の中・・スタジオとはかけ離れたイメージ・・
あたかも・・工事現場の資材置き場か、宿泊施設のように見える・・・

「本当にこんな所に、あの「俊ちゃん」がいるのだろうか?・・」

むき出しの非常階段を、ジャニーさんの後について登って行く・・

鉄の重い扉を開ける・・・
中から・・音楽が聞こえてくる・・・

その局が「ジャクソンズ・メドレー」だと知ったのは、大分後の事だ・・・

スタジオの中に入る・・・

張り詰めた空気・・踊る5人の男・・・
その真ん中に・・赤いスウッエットの上下を着た見覚えのある人がいた!

「田原俊彦だ!」

そして、その周りにいるのは「ジャパニーズだ!」

スタジオの片隅で突っ立ったまま、感動で動けなくなっていた・・

ジャニーさんに促され、スタジオの片隅にある椅子に腰掛けた。

練習は続いている・・

5人の息の揃ったダンスが目の前で繰り広げられている・・・
そのレッスンを目の前で見ている自分が信じられなかった・・

「俊ちゃん」がマイクを持っているそぶりをしながら、目の前に来た・・
1メートル前で、「マイケルジャクソン」のまねをしている・・

「俊ちゃん」と視線があう・・
背中がゾクゾクとした。

俺は見つめたまま・・固まっていた・・・

時間が経つのを忘れ・・見入っていた・・その時、音楽が途切れた・・
ジャニーさんが声を掛ける・・・

「俊」弁当あるよ・・

急に和やかな雰囲気に包まれた・・・

ジャニーさんがこっちを向いて話しかけてきた・・
「YOU・・あっちに給茶機があるからお茶を5つ持ってきて・・」

「は、はい!」

俺は慌てて・席を立った・・
旧式の給茶機がそこにあった。
俺は紙コップにお茶を注ぎ、近くにあったお盆に5個の紙コップを載せた・・

テーブルの上に弁当を広げ、5人が食事をしている・・
真っ先に、「俊ちゃん」の元へお茶を運んだ・・・

「失礼します・・・お茶です・・」

当たり前の事を言った自分に、恥ずかしさを覚えた・・・
が、お茶をこぼさないようにするのが精一杯だった・・・
近寄りがたい、オーラのような”気”が出ていた・・

お茶を配り終えると、ジャニーさんが言った。

「ボビー・・今度ジュニアに入った武口君。」

唐突な紹介に戸惑った・・

「武口です。・・・よろしくお願いします。」

ボビーさんが、軽く会釈した・・・

「来週の日曜日、1時から、ここでレッスンがあるから・・」
ジャニーさんが言った。

「まだ電車ある?」

時計を見た。時間はまだ10時30分過ぎだった・・
「はい!大丈夫です。」

「じゃ、来週ね。」

「はい、失礼します!」

スタジオを出る時、振り向きざま、もう一度挨拶をしてスタジオを出た・・

帰り道・・・あまりにも多くの出来事が有り、振り返るのに時間が掛かった・・

親や、友達に何から話せばいいのか・・・
それ以上に・・日曜日が来るのが楽しみになった・・・

こうして、俺の1番長い、濃い1日が終わった・・・






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